先週末に両親と温泉旅行に行ってきた。行く先は岐阜県の下呂温泉。両親は名古屋から、僕ら夫婦はmini cooperで中央道経由で東京方面から向う。渋滞につかまりながら、かなりの時間を要して、早朝から出かけたのに夕方頃やっと落ち合う事ができた。子供の頃に何度も行った事があるはずだったのに、今回訪れたその場所はとても新鮮だった。体の芯まであたたまり、出された料理もとても美味しかった。晩酌をしながら両親と昔話をする。
妹の息子が入学した高校で学園祭で先輩たちのバンド演奏を観てやってみたくなり、おじちゃんのギターで弾いてないのがあったら、一本持ってきてほしいということで、考えてみた・・・
昔のグレコのギターは、ある意味初心者向きではないし、ストラトもテレキャスもピックアップが改造されていてやっぱり初心者にはどうかなあ、という感じなので、初心者セットがいっぱいついているお得なストラトキャスターを一本新品で贈る事にした。小さなアンプもついているし、チューニングメーターも、ストラップも、ピックも大体揃っている。便利な世の中だ。
ネットで注文し、妹宅に送る。丁度、両親と旅館で食事をしている時に妹から電話がきた。「なんかすごいものが届いたんだけど・・・おにいちゃん?」そうそう、送っといた。「うわ〜ありがとう。」
というわけで、甥っ子はエレキギターを手にした。妹はそのおかげで勉強をしなくなるんじゃないかと少し心配してるみたいだった。
「お前が小学生の時に(k.yairiの)ギターを買ってやらなかったら、もう少しまともな人生だったか・・・」
と父親が言う。
「そんなことはないよ。そのおかげで、僕の人生はとても潤ったし、音楽やギターのない人生なんて考えられない。すごく感謝してる。」と息子が答える。
母親も妻も笑顔でうなずいている。
音楽なんてなくても生きて行けるという人もいる。でも僕の場合は常に音楽は傍らにあって、いろんな道標になった。これからもきっとそうだろう。
翌日は、合掌造りを見たり、中山道の馬籠の宿あたりを散策して帰る。デジカメで記念写真を撮り、五平餅を4人でほおばる。中津川をぬけて、快晴の気持ちいい風を感じながら帰路につく。
こんな何でもない旅が、とても貴重なひと時に感じる。
その日は名古屋に宿をとり、久々に池下のストレガに顔を出す。ラジオペペの猫柳道行と久々に再会して、千種の馬車道という拓郎好きなマスターがやっているバーで少し演奏した。ろっかばいまいべいびいを歌った。覚王山バーに妻と友人を迎えに行き、コットンハウスの前を通って田代本通りを抜ける。懐かしさが固まりになって押し寄せる。この辺におーるあろーんがあったんだ。名古屋大学の学生のたまり場だった。僕はそこでジャズを聴いた。キースジャレットを知った。小さなサボテンを皆で育てた。拓郎の「高円寺」を大音量で聴かせてくれた加藤和彦似の教生の先生は高下駄をはいていた。あのときスピーカーから流れてきたJ-45のシャリシャリした音質は、今でも確実に記憶の中にある。
そうやって、僕らの旅は果てしなく続くのです。