2011年9月14日水曜日

あの日、田代本通りに向かう途中で、出会わなければならなかった音


Keith Jarrett - The Koln Concert (1975)

1975年、1月24日、西ドイツ。 

この日、ライン地方の古都ケルンのオペラハウスで行われた、 キースジャレットのコンサートが録音されていたことに感謝する。このアルバムに出会わなければ、僕の人生は少しつまらないものになっていたと思う。そして、酒の味を変えてくれた。思慮深さ、の様なものを、音楽を通して教えられた。 

透明感。清涼感。重厚感・・・いろんな形容を飲み込んでしまう。すべてがあてはまり、すべての修飾は、彼の奏でるピアノの前では空しい。 

LPレコードの頃、2枚組みのセットを、大事に大事に聴いていた。途中でやめる気がしないで、いつも最後まで一気に聴いていた。宮下康仁の「なにもできない若者たち」という本を読みながら、先駆者の開拓した、偉大なる時代の足跡を羨望しながら。そしてある時は、手塚治虫を読んで。覚えたてのたばこの煙にむせながら。 

「心の清涼剤」と、言った人がいる。うまい表現だと思った。疲れたときに、癒しになる。ヒーリングと言う言葉じゃない。静かに心が、いつもある場所に導かれて行くような気がする。1973年のアルバム「ソロコンサート」はジャズディスク大賞を受賞しているが、キースジャレットのソロプレイは、ジャズ評論家の間ではしばしば議論の対象になってきた。たしかに純粋なジャズの理論を踏まえれば、カテゴリーからは、はずれているかもしれない、でも僕はこのアルバムを先輩に連れられて行った「おーるあろーん」というジャズ喫茶ではじめて聴いた時の感動は、その後のどんなジャズの名盤を聴いたときの感動よりも深かった。 

その小さなジャズ喫茶「おーるあろーん」は、鏡ヶ池通りの坂を下って、田代本通りに向かう途中にあった。その店にいつもいる女の子に、先輩がその日、差し入れしたのは、小さなサボテンだった。その店の片隅に、まるでその日のモニュメントのように、置かれて、いつまでも皆で大事にしていた。店が開いてないときも、窓のすき間からそのサボテンを見つけると、満足してバス通りを歩いて家に帰った。 

出会わなければ、ただ、それだけで通りすぎて行くものも沢山ある。でもあの日、あの音に出会わなければなかったんだ、と今でもそう思う。

ねじ式(mixyより再掲)


といっても、ゲンセンカン主人とは何の関係もない。メメクラゲのはなしではない。ストラトキャスターのピックアップの話だ。 

最近は335というセミアコとレスポールばかり弾いているので、ストラトキャスターは出番がない。それに、レスポールと比べるとピックアップのパワーもいまいちなので、おのずと弾く機会がほとんどなくなっていた。 

ひょんな事から、ストラト用のピックアップを手に入れた。メーカーもわからない。ただし、何となく直感で、結構なパワーがありそうな気がする。テスターがないので計れないが、このしょぼいストラトに載せ換えてみようか・・・と思い、急遽昨晩から空いた時間に改造作業に入る。 

ピックアップカバーのネジを緩め、カバーを外し、3つのシングルコイルを外す。ボリューム、トーン、レバースイッチのノブを外して、カバーから外す。アースとジャックの線を切り、フェンダーの内蔵を全て摘出する。そしてどこの馬の骨かもわからない内蔵にそっくり入れ替える。レバースイッチのネジ以外は全てきれいに収まった。 

翌日、仕事帰りにセレクターのネジを買いに行こう、と夜遅くまでやっているホームセンターに行く事にした。とあるプレゼンの後で、少しめかしこんでディレクタースーツを着ていた。友人がベンツで送ってくれた。 

ベンツを降り、ホームセンターに入る。 

ネジのコーナーは・・・? 

あ、あった、あった。 

すいません、このスイッチに入るネジありますか?と、初老の店員に聞いてみる。 

あ〜ネジならこの辺に・・・うん?それは何のスイッチです? 

レバースイッチなんだけど・・・ 

うちにはないねえそんなもんのネジは。 

いや、この穴に入るネジなら良いと思うんだけど・・・ 

いやあ、そういわれてもねえ、ネジには用途ってものがあるから、同じネジでもいろいろと・・・まあ、専門の人を呼んでみるから、待っててください。 

(え、おじさんは専門じゃなかったの?ていうか、ネジの専門家って?) 

で、そのスイッチは何のスイッチ? 

さっきもお聞きになりましたけど・・・ギターのレバースイッチなんです。 

え。これギターなの!ふ〜んこれがねえ・・・ 

これはギターじゃないですよ、ギターの一部だけど・・・ 

なんて言う話をしている間に、専門家が現れる。 

あ、こちらの方がねギターのネジを探しているので・・・ 

え?ギターのネジですか、どうかなあ。そういうのは楽器屋に行かれた方が・・・ 

だから、ギターのネジじゃなくって、レバースイッチのネジ! 

じゃ、実際にネジを入れてみればわかりますから、そのスイッチを貸してください。 

あ。どうぞ。 

あ、これギターですよね。 

いや、ギターのスイッチです・・・ 

たしか、ギターのボリュームのところについてる・・・ 

(だから最初からそう言ってるでしょ・・・) 

じゃあ、きっとこのネジでしょう、と言っておもむろにネジが沢山入っている袋を破り、一本取り出し、スイッチの穴に入れて回している。 

あれ、入らないな・・・これじゃないのか、じゃあ、こっちかな、あれ、これも違うな・・・ 

専門家は次から次へと袋を破り、なかなかビンゴしない。 

10種類くらい試した頃・・・ 

あ、あいました、このネジです。穴にぴったりです。 

たしかに穴にはぴったり収まってますけど、ネジが長過ぎて、ギターに固定できないと思うんですけど・・・ 

あ〜そうですね〜。惜しかったですね・・・ 

と言いながら、今度は長いのや短いのを並べ始める・・・また7〜8本試した頃・・・ 

これです!これなら、きちんと固定できます。こちらを、どうぞ。何本、必要でしょう? 

(見ればわかると思うけど・・・)え?ネジはバラ売りしてるんですか?袋沢山破ってたと思うんだけど・・・ 

はい、何本でしょう? 

あ、2本です。 

え^と2本ですね。あ、それから、普通のネジでも良いんですが、ちょっと高いんですが、ステンレスのネジもありますがいかがなさいますか? 

そんな高いネジじゃなくても、いいですが・・・でも錆びない方が良いなあ。 

じゃあ、ステンレスが良いと思いますよ、少し高いですけど。 

わかりました、じゃあ、ステンレスのネジを2本で・・・。 

それでは、伝票を書きますからお待ちください。 

(ネジ2本で伝票書くのか・・・) 

伝票を渡しながら・・・ 

これをレジにお持ちください。 

すいませんが・・・そのステンレスのネジはおいくらなんでしょうか? 

はい、一本 4円です。2本で8円でございます。 

は...はちえん、ですね。わかりました。ちなみに普通のネジは? 

とついでに聞いてみた。 

2本で6円です。 

ステンレスは1円高いんですね・・・ありがとう・・・ 

伝票と高級なステンレスのネジ2本を持って、キャッシャーに。 

いらっしゃいませ。ネジ2本で8円でございます。お支払いはカードになさいますか? 

ディレクタースーツに身を包み、ベンツでその店に乗りつけた男は、10円をキャッシュで払い、お釣り2円を貰い、颯爽と店を後にした。

2011年9月6日火曜日

Takuro Yoshida Tribute Joint Bakuon Party Vol.2








10/29、土曜日に渋谷のGladというクラブで「よしだたくろう爆音パーティVol.2」というのをやる事になっちゃいました。(笑)一回目は5年前に青山でやって、まさか2度はないだろうと思ってたんだけど、リクエストがあまりにも多くて、またやってみます。クラブミュージックではなく、70年代の拓郎サウンドをあのクラブの音響で、爆音で聴きたい、という人向きのイベントです。レアな映像や音源もふんだんに織り交ぜて、一日拓郎三昧を!



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