研究室に課題を提出し、わたり廊下を歩き、次の講義を聴く教室に向かう途中に賑やかな声が聞こえる。
声の方を振り返ると、3人娘が手を振っている。マナとカヨ、今日はケイもいる。足を止めると、近づいてきた。
「この前ヤスさんと、盛り上がったそうで~」
「うん、脚本も見せてもらって・・・」
「ということは、やってくれるんですね!ありがとう~」と3人口々に話す。
「いや、まだ・・・それは」と、躊躇するまもなく
「今日は、全員が集まる日だから、主役の二人を紹介するから、来てくれませんか」と、真剣な3人の目力に押さえ込まれるように
「うん、わかった、時間があれば、顔を出す」と答える。
もう、乗りかかった船だ、あとは野となれ。という気分に切り替わり、その後は3人娘ととりとめのない話をして
それぞれの講義に向かった。
夕方、映像研究会に寄ると、相変わらず賑やかな歓迎を受ける。
「あ、きてくれた〜」
「どーも」
「彼女がヒロイン役の祐子さん、みんなのマドンナ」と言いながら、祐子を紹介される。
「こんにちは」
「どーも」
「こちらが、主役を演じるシュウさん」
「こんちわ」
「どーも」
さっきから、どーも。しか言ってない~、とカヨにからかわれる。
遅れて、ヤスが入ってくる。あ、全員揃ったね、じゃあ、キックオフのミーティングにしよう。
という感じで、脚本を見ながらここはどーする、ここは誰がやる、私はそんなに器用じゃない~
俺はもっとこういう感じが良いと思う、やっぱりこれは~と収拾がつかない感じになり、どんどんその輪から離れて呆れてみていると、ケイが照れくさそうに俺の横にきて「よろしくおねがいします。」と言った。