ある日部室でダンパ(ダンスパーティの略)のためのバンドの練習をしていたら、ヤスがちょっと真面目そうな顔であらわれた。
「やっと脚本の草稿が出来たんだ。読んでみてほしい。」
とノートを一冊置いて行った。練習を終えて、ベンチに腰掛けてそのノートを読んだ。
表紙にはマジックで「君を好きだった頃の事」というタイトルが書いてある。
なんか恥ずかしくなる様なタイトルだなと思いながらページをめくる。
ある男(主人公)がある女に恋をする。だけどその女は違う男にひかれている。ギター弾きの男だ。彼のギターを聴くと恋しい気持ちで夜も眠れなくなる。片想いでギター弾きには気持ちを打ち明けた事がない。ある日、主人公の男は井の頭公園を歩きながら彼女に気持ちを打ち明ける。真摯な態度の彼に(主人公)に女性も気持ちが傾いていく。ギター弾きには仲のいい年下のファンがいる。妹みたいな存在でいつも一緒にいる。主人公と、その想いを告げた彼女がデート中に吉祥寺を歩いていると、ギター弾きが仲良さそうに年下らしい女性と歩いているのを見かけてしまう。ギター弾きの事を忘れていたつもりだった彼女の気持ちが揺らぐ。思わず、ギター弾きの前に駆け寄り、あなたの弾くギターが好きです。と告げる。ギター弾きも彼女を意識し始める。年下の女性は穏やかじゃない。主人公は・・・
というような、ストーリーが書いてあり、なんだか、よろめきドラマっぽい感じもしなくはないけど、ヤスなりに一生懸命書いたんだろうと思い、感想を伝えるためにその夜、彼に電話して彼の下宿している井の頭公園の近くで会う事にした。
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