2013年5月13日月曜日

君を好きだった頃の事 その4


映像研究会で作った映像作品を順番に観ていく。いろんな手法で音楽も駆使して、今は映像でここまで出来るのか、と見入っていた。でもこんなアートな作品とはあまり縁がないよな、と退屈になりはじめた頃、ヤスが

「これは主にアートっぽい、イメージ映像の分野だけど、俺はもっとストーリー性のあるものがやりたいんだ。つまり、脚本があって、役者がいてセリフがある。」

「でもそういうのは、映画の世界でやればいいんじゃない?ビデオアートはもっと感性で勝負するものだと思うんだけど。」

「なるほど、そういう考え方もある。でも、俺はあの部室で君の歌うのを聴いていて、ピンと来たんだ、これは面白そうだと。」

「え!?何?意味が判らないんだけど。」

「とにもかくにも、君の歌の世界が、イメージを広げてくれて、彼女たちに話したら、それ面白い、一緒に作ろうという事になったんだ。」

ケイといわれるポニーテールはいなかったけど、それ以外の二人は楽しそうに同意して頷いている。

「俺そんな歌うたってね〜し、大体、勝手に部室に・・・」と言いかけたけど、

「わたしはマナで、この人はカヨ。」と話は遮られ

「ヤスさんより、一年下です。学年は同じだけど。」
結局全員ピカピカの1年生じゃねーの。

マナは落ち着いた感じのショートワンレンが似合っている。
カヨは前髪を額でそろえた長めのボブヘアーだ。

「学食で会ったのがケイ、今日はいないけど。」

そんな話をして、はじめての事だらけでお腹いっぱいになり
「じゃ、また!」と帰り際に、
ヤスが
「脚本が出来たら、また持っていくから。」
と言った。

脚本?まあ、よくわからないけど、曖昧に返事をして3人と別れた。

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