映像研究会の部室はハイテクな機材を備えた視聴覚室の隣接した場所にあった。ビデオ機材と編集機材がズラッと並び、音楽系サークルがひしめくキャンパスの端っこのボロボロの掘建て小屋とは比べ物にならない近代的なスペースが出現し、驚きを隠せないまま戸惑っていると、
「あ、バンドの!」
「来てくれたんだ〜」
と前回の3人娘のうちのポニーテールじゃない、あとの二人に遭遇する。
「あ、どうも。この前、もうひとりのポニーテールの子と会って、そん時にここに来るって言っちゃったから・・・」
「え〜!ケイに会ったんだ〜、聞いてないよね〜」とか言いながら二人で盛り上がっている。
その二人の声を遮るように男の声がした。ヤスだ。
「今、試写室に案内するから。」
「あ、久しぶり、先日、ポニーテールの・・・」
「ケイから聞いた。こっちが試写室。」
ヤスについて、ポニーテール以外の二人も歩き出す。その後についていくと今度はテレビモニターがズラッと並ぶ部屋にたどり着く。
「・・・あの、映像研究会って、あの8ミリとかで映画を作ってるんじゃなくて・・・」
「ここは、ビデオ技術を駆使して、映像を作り、音楽やアートを表現したり、いろんな作品を作っているところなので、撮影は全部ビデオ。それもシブサンで。」
「シブサンって???」
「四分の三の略、テープ幅が19mm(3/4インチ)だから。」
シブサンとあぶさんの違いも判らず、8ミリ、シングルエイトしか知らない俺は愕然としながら沢山のモニターの前に立ち尽くしていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿