雨が降るTokyoを歩く。12月。もうひと月を切った2009年を噛み締めながら行く。時間を無駄にしたくない、と最近、せつに思う。だからって時は止まってくれない。せめて、充実した精神を持っていたい。どこに行くのも自由だし、何をするのも。
そーいえば、12月の雨、そんな歌があったなあ、と思いを馳せる。ユーミン。
遅く起きた朝、まだベッドで眠りたい。今にもあなたが白い息を吐き通りをわたって来る・・・そんな歌だった。そしてもう会えないだろう恋人を時が物語に変えるとしめくくる。アップテンポな曲調に反して切ない歌詞だった。ユーミンがこの歌をヒットさせていたのはまだ70年代だった。
ユーミンブランドというベストアルバムを、貯めたお小遣いで買った。まだそんなにLPなんて安くない時代。立体メガネのジャケットは衝撃的だった。そこに収録されているすべての楽曲が、キラキラと輝いていた。歌謡曲やフォークシンガーの時代からニューミュージックの時代がやってきた。歌の中にはメッセージはなく、お洒落なスタイルがあった。数学の問題が解けないと、レコードに耳を傾け、英文の解釈につまると、ラジオのスイッチを入れる、学生時代の燻りを見事に浄化させる気持ちのいいサウンドがそこにあった。おかげでどんどん数式は解けなくなり、グラマーは苦手になった。ティンパンアレイというバンドがはっぴいえんどから派生し、日本のポップミュージックカルチャーに大きな潮流の変化を起こしていた。「やさしさに包まれたなら」のアレンジなんてもう、すごすぎる。細野さんの音楽は今でもとても計算されていて、最近のライブにおけるアコースティックユニットでも、その周到さは健在だ。
今のユーミンのステージはそんなに張り切って観に行こうとは思わないけど、あの頃の楽曲はやっぱり時々無性に聴きたくなる。80年代では「よそゆき顔で」という曲が秀逸だ、と思う。よそゆき顔ですれ違うなら二度と逢わない方がいいのね・・・と歌われるそのメロディラインが大好きなもので、ユーミンベストを編集するときは必ず一番最初にこの曲を入れる事にしている。
できれば観音崎の歩道橋に立って、ドアのへこんだ白いセリカが下をくぐって行くのを見てみたいとも思うが、この歌が気になる理由はそこではなくて・・・
別れた男に対して、よそゆき顔して通り過ぎる事を恥じ入るなんてとても奥ゆかしいと思うんだけど、よそゆき顔ですれ違ったら、好きなだけ笑って、なんてユーミンはとても昭和な人だなあと思ったりしたのですな。マリッジブルーの女性のつぶやきを風景になぞらえて淡々と歌いながら、実は現実的な女性の性(さが)のようなものを際立たせている。
今の相手は堅い仕事と静かな夢を持った人。で、車のドアもへこんでないんだろうし、きちんとしてるんですね、だから、そんな手堅い結婚を選んでしまった私を笑っていいのよ、という複雑な女性心理を具現化した事でやっぱりユーミンって分かってるわよね〜という感じでOLの皆さんがレコードを聴いていたのでしょうか。
で、ユーミンソングのフェイバリットをもう一曲上げるとしたら、ラッサーサーヤンゲ〜かなー
当時暗くて大嫌いだった紅雀。なんで新婚1発目がこんなんだろうと思っていました。でも今ならわかる。私結婚したんだよ♪ルンルンというアピールをする人じゃない。ヒメジョオンハルジョオンなんか今聴くと秀逸だと思います。あの切なさったらない。
返信削除スラバヤ通り私にはご当地ソング。元歌も歌えるのが自慢!
よっしーさん、こんにちは。ユーミンの歌は僕らの人生の想い出に寄り添ってずっと残ってるものですね。ヒメジョオン・・・の「思い出すそばから葬るくせに・・・」なんて、やっぱりすごいフレーズだと思います。
返信削除でも、ヒメジョオンとハルジョオンの違いが分からないかも〜(笑)
ユーミンブランドは田舎モノで無骨な正確にはフォークではないんだろうけどフォークソングを追いかけていた僕には衝撃的なアルバムで、確か中三か高一位だったんじゃないかな
返信削除僕は欲しかったけど恥ずかしくて買えなくて高校のクラスメイトの女の子に借りてダビングした思い出があります。この曲を知ったのは今年になってからでどこかで耳にした歌詞を頼りに必死に検索してたどり着いたから日記のタイトルを目にした時にyumingだ!って思ったらやっぱり正解で嬉しかった!
晋さん、お久しぶりですな〜
返信削除このタイトルでユーミンをちゃんと連想できる人は、あの頃の音楽を幅広く聴いてた人です。もしかしたら暴走族の話か?なんて思うやつも・・・いないか(笑)
もう一月ですが、
返信削除今日のこの天気で、ふと、
ドアのへこんだ白いセリカの歌を聴きたくなり、題名がわからず、探していたら
ここにたどり着きました。
当時付き合っていた彼が、セリカに乗っていて、
二人でこの歌を聴き、笑ったのを思い出し、
とても懐かしくなりました。
懐かしくも、ほろ苦い、いい想い出ですね。歌と想い出、いつの時代にもあるし、おもしろいですね。
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